【2018.12.16】先週12/10~12/14のFX値動き
- 2018/12/16
- 為替ニュース
先週は、英メイ首相はEU離脱案の議決採決を中止したことを受けて、メイ首相の不信任案を議会が提出しました。英国はEU離脱で大きく揺れ動いています。
米中は、次世代通信網「5G」導入に向けて、覇権争いになっています。
さて先週一週間の動きをみていきましょう。
【2018.12.10】FX市場
ドル約2週間ぶり高値!FRBハト派化するとの見方がやや後退
前週末ニューヨーク市場午後5時時点より小安い112円後半。
一時112.24円まで売られ、6日に付けた1カ月半ぶり安値に迫った。米金利の低下がドルを押し下げた一方、アジア株安を背景に円も堅調だった。
国放送協会(BBC)の政治部門編集責任者によると、メイ首相は11日に予定していた欧州連合(EU)離脱案の議会採決を中止した。
採決中止の公式な発表は出されていない。メイ首相は1530GMT(日本時間11日午前0時)に議会で声明を発表する見込み。
BBCのローラ・クンスバーグ編集長はツイッターで「2人の内閣筋が、採決が中止になったと語った。まだ公式に確認されていない」と述べた。
野党労働党のコービン党首は「政府はメイ首相の離脱案があまりにも悲惨な結果をもたらすと判断し、ぎりぎりになって慌てて採決を先送りした」と述べた。
ニューヨーク外為市場では、英国のメイ首相が11日に予定していた欧州連合(EU)離脱案の議会採決を延期すると発表したことで、英ポンドが1年8カ月ぶりの安値を付けた。
メイ首相は「もしあす投票に踏み切れば、離脱案は大差で否決される。
したがって現時点で議会の分裂を助長しないよう、あすの投票を延期する」と表明。前日になって採決が延期されたことで、合意なしの離脱、ぎりぎりになっての合意、離脱の是非を問う国民投票の再実施などの可能性が台頭した。
ただトゥスクEU大統領は、離脱合意案の再交渉は行わないと表明している。
テンパス(ワシントン)のシニア外為トレーダー、ジュアン・ペレス氏は「英ポンドは過去2年間にわたり解決への期待に翻弄されながら緩やかに下落してきたが、ここに来て単一市場からの離脱は繁栄への道ではないことがはっきりとしてきた」と述べた。
英ポンドは対ドルで一時1.2507ドルと、2017年4月以来の安値を付けた。その後は1.41%安の1.2546ドルとなっている
アジア取引時間帯では1.14425ドルと、約2週間半ぶりの高値を付けていた。
マニュライフ・アセットマネジメント(ボストン)のアソシエート・ポートフォリオマネジャー、チャック・トメス氏は「米連邦準備理事会(FRB)が向こう1年間で大きくハト派化するとの見方がやや後退した」としている。
【2018.12.11】FX市場
ドル小高!米株高でドルつれ高
前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べて小幅ドル安/円高の113円前半。
前日海外は米株高の流れを受けてドル買い/円売りとなったが、小高く始まった日経平均がマイナス圏に下落すると上値が重くなった。
英国の与党、保守党議員らがメイ党首の不信任投票発動に十分な48通の書簡を送付したと、スカイニュースの編集者が11日、伝えた。
首相報道官は同報道についてコメントしなかった。
大衆紙サンの編集者は保守党幹部議員の話として、不信任投票発動に十分な書簡は現時点で集まっていないと報じた。
<米・経済指標>
〇11月卸売物価指数(PPI)(前月比)
0.6% → 0.1%↓
〇11月卸売物価指数(PPI)(前年同月比)
2.9% → 2.5%↓
〇11月卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)(前月比)
0.5% → 0.3%↓
〇11月卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)(前年同月比)
2.6% → 2.7%↑
【2018.12.12】FX市場
ドルほぼ同水準!利益確定や戻り待ちのドル売り
前日ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ同水準の113円前半。
高く始まった日経平均が上げ幅を400円超に拡大する中で強含んだが、同水準では利益確定や戻り待ちのドル売りが入り上値を抑えた。
英国のメイ首相は12日、この日行われる与党・保守党党首としての不信任投票を控え、次回の総選挙前に退任する考えを同党議員らに示した。
また会合に出席した議員によると、メイ氏は2022年の次回総選挙までに解散は行わないと述べたという。
不信任投票は1800GMT(日本時間13日午前3時)に始まり、約2時間かかるとみられる。
英国のメイ首相は12日、与党・保守党がメイ党首の信任投票をこの日実施すると発表したことを受け、党首交代となれば、英国の欧州連合(EU)離脱を延期せざるを得なくなるとの認識を示した。
首相は「新しい党首は法律上の期限である1月21日までに就任できない。このため、党首選が実施されれば、離脱交渉の主導権を議会の野党議員に明け渡すことになりかねない」と発言。
「新たな党首には、離脱協定を再交渉する時間も、3月29日までに法律を議会で成立させる時間もない。そうなれば、まず(離脱手続きを定めたEU基本条約)第50条の延期か取り消しを迫られることになる。
人々が求めているEU離脱を延期もしくは中止する事態にさえなる」と述べた。
首相は「持てる力をすべて」発揮して信任投票で闘うと表明。党首交代となれば、英国の将来がリスクにさらされ、離脱交渉が危うくなると述べた。
<米・経済指標>
〇MBA住宅ローン申請指数(前週比)
2.0% → 1.6%↓
〇11月消費者物価指数(CPI)(前月比)
0.3% → 0.0%↓
〇11月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
2.5% → 2.2%↓
〇11月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
0.2% → 0.2%→
〇11月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
2.1% → 2.2%↑
【2018.12.13】FX市場
ドル再び上昇!欧米株高・日経平均が上げ幅を拡大
前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル高/円安の113円前半。
欧米株高の流れを引き継いだ日経平均が前引けにかけて上げ幅を拡大。
ドル/円は連れ高となり一時113.50円まで上昇した。その後は今晩の欧州中央銀行(ECB)理事会を意識して様子見姿勢が強 まった。
ドル/円JPY=の年間値幅が、過去最小の10円未満となる可能性が高まってきた。
狭いレンジ相場の中で目立ったのが、過去最大級の逆張りをみせた個人投資家の相場巧者ぶり。上値で売り、下値で買うレベルが相場の流れを読み切ったタイミングとなった。
ただ、来年は相場を急変させるリスク「灰色のサイ」の存在も警戒されており、逆張り戦略が引き続き有効かは不透明だ。
<2強のドルと円>
2018年のドル/円(EBSベース)は、13日時点で年初来の値幅が104.56─114.55円の上下9.99円と、過去最小だった2015年の10.01円を下回っている。年末まで約2週間を残しているが、1970年代に変動相場制が始まって以来、最小値幅更新となる可能性が大きい。
その最大の理由は、ドルと円が今年最強の2通貨だったことだ。ドル買いと円買いがぶつかり合う形となり、ドル/円という通貨ペアでは動きが小さくなった。
ドルは、米国の強い経済と利上げによる金利高で、米株や米債などドル資産を求める動きが増加。ドルインデックス.DXYは昨年末比で5.3%の上昇と、主要通貨で最も上昇した通貨となった。
また、貿易を含む米中摩擦懸念で資金の逃避先となりやすかったことも、ドル高の要因だ。
次いで強かったのは円だ。
ドル/円が注目を集めがちだが、実は、ドル以外の通貨に対しては今年、軒並み円高になっている。対ユーロで約4%強、対ポンドで約6%強の円高が年初来で進行。
リスク回避の際の「逃避買い」は以前ほどは目立たなくなったものの、対ドル以外ではしっかり需要を集めている。
<流れをつかんだ個人投資家>
プロが苦戦を強いられる狭いレンジ相場の中で、目立ったのは絶妙な個人の逆張りだ。
ドル/円が104.56円の年初来安値をつけた3月にかけて、個人は年始からドル買いを活発化。
金融先物取引業協会の集計によると、店頭FX(外国為替証拠金取引)53社を通じた買い建て額は、2月に円換算で過去最大級の3兆円超へ膨らみ、差し引きでも遡及可能な2008年11月以降で4番目の買い越し幅を記録した。
<米・経済指標>
〇11月輸入物価指数(前月比)
0.5% → -1.6%↓
〇11月輸出物価指数(前月比)
0.4% → -0.9%↓
〇前週分新規失業保険申請件数
23.1万件 → 20.6万件↓
〇前週分失業保険継続受給者数
163.1万人 → 166.1万人↑
〇11月月次財政収支
-1000億ドル → -2050億ドル↓
【2018.12.14】FX市場
ドル売り!日経平均の大幅反落
前日ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ同水準の113円半ば。
午前は実需筋のドル売り/円買いが観測されたほか、日経平均の大幅反落や中国株安が下押し圧力を強めた。午後は材料に乏しく、113.40円台を中心に小動きが続いた。
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は14日、世界経済の不透明感が強まっており、ECBは選択肢をオープンにしておく必要があるとの認識を示した。
ECBは前日、債券買い入れプログラムの終了を正式に発表。ただ、それ以外の政策については明確な方針を示さず、景気減速時に経済を支援できる体制を維持した。
副総裁は会合で「われわれは暗室におり、時々さらに暗さが増す。暗室にいる時は非常に慎重になる必要があり、選択肢を最大限増やしておく必要がある」と述べた。
<米・経済指標>
〇11月小売売上高(前月比)
0.8% → 0.2%↓
〇11月小売売上高(除自動車)(前月比)
0.7% → 0.2%↓
〇11月鉱工業生産(前月比)
0.1% → 0.6%↑
〇11月設備稼働率
78.4% → 78.5%↑
〇12月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
55.3 → 53.9↑
〇12月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
54.7 → 53.4↓
〇12月総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)
54.7 → 53.6↓
〇10月企業在庫(前月比)
0.3% → 0.6%↑
(ロイターより)
(外為どっとコムより)
【先週の主な動き】
先週の主な話題は、英メイ首相がEU離脱の議会採決を延期、メイ党首の信任投票を実施。
米中では、「ファーウェイ」のCFO(最高財務責任者)孟晩舟容疑者がカナダで逮捕したことを受けて、中国は報復処置としてカナダ人の2人をスパイ容疑で拘束した報道がありました。
英メイ首相がEU離脱の議会採決を延期したことを受けて、与党・保守党がメイ党首の信任投票を実施しました。
英メイ首相は、信任採決が200で続投ということになりました。EU離脱に関しての内容について、議会は納得していないようです。
しかしメイ首相は、この離脱案に納得しないと、英国の採決に関わらずEUは、強制的に離脱案を強行してくるものと思われます。
次に米中では貿易摩擦問題のほかに、中国通信機器技術・華為技術(ファーウェイ)のCFO孟晩舟容疑者の逮捕を受けて、中国は、報復処置としてカナダ人のコブリグ氏とマイケル・スパバ氏をスパイ容疑で拘束したと報道しています。
米国は孟晩舟容疑者の身柄を引き渡すようにカナダに要請していることで、中国は身柄引き渡しの阻止を狙ったものと思われます。
この問題の根底は、次世代高速通信網「5G」の覇権争いによるものだと言われています。
日本も、米国に従い中国・ファーウェイの製品を排除する動きになっています。
ファーウェイの製品は、安価でハイスペックな機器で、価格.comでは、スマートフォンランキングを見ると、スマホが1位、タブレットでも3位につけています。
製品は良いものの、通信インフラ「5G」のセキュリティの関係から、問題となっているのです。中国政府のハッカーなどサイバー攻撃でスパイ行為による危険性があるのではないか、との懸念があるからです。
最近ソフトバンクの通信障害がありました。その影響で3万人以上が通信ができないなどの障害が出ました。
原因は、スウェーデンの通信機器メーカー・エリクソンのコアネットワークのソフトウェアに不具合あり、通信障害を引き起こしたと発表しています。
このように通信インフラの障害は、世界に波及するという事実を知らなければなりません。
さて、日足チャートをみると、
先週は、ドルが小幅高となり、ボラティリティも小さくなってきています。
今年いっぱい狭いレンジで、推移していくものと思われます。
今年はドルと円が強い一年であったと思われます。
米中貿易摩擦で逃避先としてドルが買われる要因となり、次に強かった円買いにも走っています。
プロが苦戦を強いられる狭いレンジ相場では、個人投資家の絶妙な逆張り戦術が功を奏した形となっています。
【来週の主な経済指標発表】
・12/17(月)
22:30 12月ニューヨーク連銀製造業景気指数
24:00 12月NAHB住宅市場指数
30:00 10月対米証券投資(短期債除く)
30:00 10月対米証券投資
・12/18(火)
22:30 11月住宅着工件数(年率換算件数)
22:30 11月住宅着工件数(前月比)
22:30 11月建設許可件数(年率換算件数)
22:30 11月建設許可件数(前月比)
・12/19(水)
21:00 MBA住宅ローン申請指数(前週比)
22:30 7-9月期四半期経常収支
24:00 11月中古住宅販売件数(年率換算件数)
24:00 11月中古住宅販売件数(前月比)
28:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
28:30 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
・12/20(木)
22:30 12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
22:30 前週分新規失業保険申請件数
22:30 前週分失業保険継続受給者数
24:00 11月景気先行指標総合指数(前月比)
・12/21(金)
22:30 7-9月期四半期実質国内総生産(GDP、確定値)(前期比年率)
22:30 11月耐久財受注(前月比)
22:30 11月耐久財受注・輸送用機器除く(前月比)
22:30 7-9月期四半期GDP個人消費・確定値(前期比)
22:30 7-9月期四半期コアPCE・確定値(前期比)
24:00 11月個人消費支出(PCE)(前月比)
24:00 11月個人所得(前月比)
24:00 11月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前月比)
24:00 12月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
24:00 11月個人消費支出(PCEデフレーター)(前年同月比)
24:00 11月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前年同月比)
【ドル円の平均ボラティリティ(日足)】
12/10~12/14
・・・59pips